美学会全国大会ポスター発表会 2024年10月13日(日)
ポスター 01
服部正(甲南大学)
アール・ブリュット(art brut)という言葉は、1940年代の半ばにフランスの美術家ジャン・デュビュッフェが考案した造語である。デュビュッフェ自身が「胃腸の悪い人の芸術やひざの悪い人の芸術がないように、精神疾患の人の芸術もない」と述べるように、元来この言葉は障害のある人の創作活動と直結するものではなかった。しかし、2010年以降の日本においてこの言葉は、ほぼ「障害者の芸術」と同義語として機能している。フランスに目を向けると、アール・ブリュットは2022年からポンピドゥー・センターの常設展示室でも展示コーナーが設けられるなど、20世紀美術史の中での位置付けが進んでいる。一方日本では、自治体が障害者の芸術活動推進のための中間支援組織の名称にアール・ブリュットを用いるなど、福祉施策の中でこの言葉が定着している。同じ言葉をめぐるこの断絶が意味するものは何か。日本において、障害のある人が制作した作品は「ひざの悪い人の芸術」としてしか語りえないのか、近年の状況を振り返りつつ考えてみたい。
ポスター 02
上田假奈代(特定非営利活動法人 こえとことばとこころの部屋)
新川和江のこの詩は次のように結ばれる。
川と同じに はてしなく流れていく 拡がっていく 一行の詩
2003年から大阪市西成区通称・釜ヶ崎に関わり、喫茶店のふりをしたアートNPO「ココルーム」をほぼ年中無休で運営し20年余り。釜ヶ崎の人々、多様な人々と出会います。まちを大学にみたてた「釜ヶ崎芸術大学」、世界の旅人と地域の人々が出会う35ベッドのゲストハウスのふりもしています。