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三省堂国語辞典(第八版)

三省堂国語辞典(第八版)

斜め上という語はもともと俗語ですが、現在では普通に使われています。現代語としては「それまでの流れからは考えられないこと」を意味しますが、もしかりにこの言葉づかいを知らずに文字どおりの意味にとっても、誤解は少ないでしょう。斜めとは普通でない状態であり、上というのは何らかの「良さ」を表すとして、斜め上とは、普通でない「良さ」ともとれます。

デザインの斜め上とは、社会に認められた「良さ」とは異なるけれども、意外にも悪くはないと思えるような事物のありかたであるとします。そこで重要なのは、ものごとの「良さ」への思慮であり、社会に認められた「良さ」を意外な方向にずらしていく行為であり、見知らぬ「良さ」を発見しようとする態度です。

デザイン史では、ラジカルデザインからポストモダニズムへの展開や、クリティカルデザインからスペキュラティヴデザインへの展開にみるように、社会に認められた「良さ」に疑問を投げかけ、批評性・想像力・違和感といった価値にもとづき、賛否の分かれそうな可能性をしめすデザインの系譜が脈々と続いています。

ここでの題名を「デザインの斜め上」としたのは、デザイナーが何かを考えだして提案するだけでなく、デザイン以前のものの「良さ」が見直される場合もあるからです。今日、ヴァナキュラーの語のもとで、誰がつくったのか分からない、街角で見かける仕事にも目が向けられています。人々の異常なこだわりや、偶然の妙のうちに、思がけない「良さ」が発見されたりもします。


keisuke takayasu