美学が芸術の哲学にとどまらず、自然環境や日常生活へとその対象領域を拡張するようになるにつれて、あらためて「美的鑑賞」や「美的経験」とは何かが問われています。そこで「美的」という表現について考える上で、カントによる美的判断力の批判を参照することにはいまでも大きな意味があります。とはいえ「美の判断は関心を伴わない」「美の判断は主観的に普遍妥当的である」「美の学問はありえず美の批判だけが可能である」といった主張は、容易に解きがたい問いを突きつけることでかえって「美的」という表現を使いにくくしているかもしれません。討議をつうじて「美的なもの」の再検討ができればと思います。
司会:杉山卓史(京都大学)
14:00-14:40
桑原俊介(東京大学)
14:45-15:25
小林信之(早稲田大学)